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ニュースリリース

2018年8月6日、独ベーリンガーインゲルハイム、英国嚢胞性線維症遺伝子治療コンソーシアム(※1)(以下、「UKCFGTC)という)、英国インペリアルイノベーションズ(※2)、英国オックスフォードバイオメディカの4者は、フォームの終わり嚢胞性線維症(※3)の遺伝子治療薬の共同研究開発を行うことについて契約を締結したと発表しました。

今回の契約では、ベーリンガーインゲルハイムはUKCFGTCに対し画期的な新薬開発に向けた様々な支援を行い、オックスフォードバイオメディカは遺伝子治療薬に用いるベクターの製造供給を行う旨を4者は公表しております。ベーリンガーインゲルハイムは開発期間中においてオプションを行使し、全世界を対象とした独占的ライセンス契約を締結する権利を有します。

本遺伝子治療薬には、当社100%子会社である株式会社IDファーマ(以下、「IDファーマ」という)が特許を所有するF/HNシュードタイプ化サル免疫不全ウイルスベクター(F/HN-SIV)(※4)技術をもとに、IDファーマとUKCFGTCが共同で開発したベクターが用いられています。

今回の契約によるIDファーマおよび当社の業績への影響はありませんが、ベーリンガーインゲルハイムがオプションを行使した場合には、IDファーマとUKCFGTC間の契約に基づき、ある一定割合のライセンス料を受け取ることとなります。ライセンス料の発生時期や金額等については、今後の開発の進捗やベーリンガーインゲルハイムとUKCFGTC間のライセンス契約等に影響を受けるものでありますので、詳細が決まり次第、必要に応じて公表してまいります。

 

IDファーマでは、主要技術であるセンダイウイルスベクターや今回のF/HN-SIV等のベクター技術等の高度な遺伝子導入技術を活用した遺伝子治療薬の開発を進めており、創業以来多くの研究機関・製薬企業と共同研究開発を進めてまいりました。今回のベーリンガーインゲルハイムとUKCFGTCらの共同研究開発の開始は、IDファーマのベクター技術の臨床応用の事例の1つとして捉えており、引き続き、技術の臨床応用拡大に向け事業を推進してまいります。

 

 

※1 英国嚢胞性線維症遺伝子治療コンソーシアム(The UK Cystic Fibrosis Gene Therapy Consortium, UKCFGTC):嚢胞性線維症の遺伝子治療の開発を目指して2001年に設立された共同運営体です。英国ロンドンのインペリアルカレッジ、オックスフォード大学、エジンバラ大学の3大学によって構成されています。IDファーマは2010年にUKCFGTCと共同研究開発契約を締結し、共同で嚢胞性線維症の遺伝子治療薬の研究開発を進めてきました。今回のベーリンガーインゲルハイムとの共同研究開発はその成果の一つに基づくものです。

 

※2 インペリアルイノベーションズ(Imperial Innovations):インペリアルカレッジ発の特許管理・技術移転会社であり、IDファーマがF/HN-SIV特許の実施を許諾しています。

 

※3 嚢胞性線維症(cystic fibrosis, CF):日本では非常にまれですが、白人に比較的高頻度で発生する常染色体劣勢遺伝の疾患で、全身の外分泌腺臓器の異常により呼吸器や消化器が障害され、最終的には死に至る非常に重篤な疾患です。気道上皮細胞に存在するCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)というATP依存性塩素イオンチャンネル分子の遺伝子に生じた変異により、CFTRの機能が損なわれることがその原因です。全身性の疾患ですが、水分代謝の異常による粘液の大量分泌による気道障害(呼吸困難、感染症)が主要な死因となっています。欧米における発症率はきわめて高く(特定の民族においては、新生児の2〜3千分の1)、成人に達する前に多くの患者様が亡くなっています。現在、根本的な治療法は存在せず、気道粘液分解薬、抗生物質などの対症療法に留まっているため、欧米において嚢胞性線維症は遺伝子治療の最重要標的の一つとなっています。

 

※4F/HNシュウドタイプ化サル免疫不全ウイルスベクター(F/HN-SIV):CFでは気道に大量の粘液が分泌されるため通常のベクターでは気道の細胞に遺伝子を送り込むことは極めて困難です。しかし、インペリアルカレッジとIDファーマとの共同研究により、センダイウイルスベクターは気道上皮細胞に高効率に、かつ厚い粘液層の影響をほとんど受けることなく遺伝子導入できることが示されたことから、センダイウイルスの細胞感染機能である表面タンパクFとHNを持つSIVベクターが作られました(本来のSIVの表面タンパクに代わってF/HNを持つため「シュードタイプ」と呼ばれます)。このF/HN-SIVは期待どおり粘膜層を通過して気道上皮細胞に遺伝子を導入できることが確認されています。今回の開発対象となる遺伝子治療薬は、F/HN-SIVに正常なCFTR遺伝子を搭載したもので、これにより正常なCFTR遺伝子を患者様の気道上皮細胞に届けることにより、遺伝的変異を受けたCFTRの機能を補います。それによって水代謝を改善し、CFの主要な死亡原因である呼吸障害を緩和し、感染症の発生を防ぐことが期待されます。

 

サル免疫不全ウイルス(SIV):レンチウイルスに属するRNAウイルスの一種。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の類縁ウイルスですがヒトでの病原性が無いため、遺伝子導入用のベクターとして開発されています。細胞内では染色体に組込まれるため、このベクターによって導入された遺伝子の発現は長期間にわたって持続します。このため、CFのような遺伝子の異常による疾患の治療に適していると考えられています。

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